日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書)
日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか (講談社現代新書)
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内山 節
講談社
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 この本によると、かつての日本の村々では、
当たり前のように人がキツネにだまされていたそうだ。
それも、まんが日本昔ばなしみたいな江戸時代以前の話でもなく、
第二次世界大戦後も、しばらくの間は人はしょっちゅうキツネにだまされたり、
化かされたりしていた。


 しかし、いつからかキツネにだまされる話が聞かれなくなる。
それはいつからなのか?と言う問いが生まれる。
著者の意見としては、それは1965年頃ということだ。


日本の高度成長期とともに、それまであった伝統的な生活、
それにともなう日本の農村の精神世界は失われ、キツネにだまされることも、
その一部として消滅していったということらしい。


それから、人間が変わったのみならず、山に手が入れられたことで
山の環境が変わり、おそらく人を化かす力を持っているにちがいない、
長生きして年を取ったキツネが生きて行きにくくなったとも書いてある。


著者は、必ずしもキツネに実際に人をだます能力があって、
だましていたと証明したい訳ではない。そういう物語があったという事実、
1965年以降にそういう物語が聞かれることがなくなっていったという事実を、
取り扱っているということ。


1965年といえば、私から見ると生まれるずっと前の話。
両親も祖父母も都会の生まれ育ちなので、キツネにだまされたという話は
聞いたことがない。本当に昔の人がキツネにだまされていたのかなんてわからない。


読んでいるうちに、なんだかキツネにつままれているような気になってきた。
もしかしたら著者の正体がキツネで、日本人の郷愁に訴えかけて、
元のキツネが住みやすい山々を取り戻そうとたくらんでいるのではないだろうか。
と、こんな風な感想をいだいてしまった時点で、今の私がキツネにだまされてるのかも。


というわけで、新書300冊計画の20冊目でした。